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SHORT STORY

Halloween Capriccio

With Noël and Priscilla 1/2

 10月31日。それは、10月の最後の日という以外の意味も持っている。
 ハロウィンという名のお祭りの日であり、各地では仮装した子供がお菓子を貰うためのバスケット片手に闊歩する日でもあった。そんな風習を目にした1人の少女が、同じ家に住まう女性に先ほど聞いたかけ声で呼びかける。

「トリックオアトリート! ……ってなに?」

 ユリアという名前の少女に呼びかけられて、椅子に座っている女性は彼女の方を振り向いた。

「ああ、今日はハロウィンか。1年に1度、仮装した子供がお菓子をもらいに練り歩く日だな」
「子供……。じゃ、ノエルも?」

 ユリアは同じ家に住まう、1人の少年のことを思い出す。自分より少し背が高いが、それでも彼は子供と呼ばれる類の存在であるということはユリアも知っている。

「あいつの場合はトリックアンドトリックだ。それにやる菓子もない」

 女性――プリシラはにべもなく告げると、脳裏によぎった1人の少年のことを思い浮かべる。自分がまさに今言ったように、あの少年は悪戯をした後に重ねて悪戯をする方が性に合うようなタイプだ。

「ないの、ノエルには? なんで?」
「多分あいつの方が私より年上だろう。なんで、年上の奴に私がお菓子をやらなくちゃいけないんだ。阿呆らしい」

 プリシラは小さくため息をついた。実際のところ、彼は自分より見た目も幼い。だが、言動は年齢不相応な所が目立つ。無論、年相応に見えるところもあるが、それすらもどこか演技くさく見える。故に、プリシラがノエルを子供のように見ることなどほとんどなかった。

「じゃあもらうの、ノエルから?」
「誰がもらうか」

 それこそ縁起でもない。

 プリシラが再度嘆息していると、質問に満足したのかユリアはその場を離れてどこかへと行ってしまった。

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